Windows 10は2025年10月14日にサポートが終了し、以降のセキュリティ更新プログラムはESU(Extended Security Updates:拡張セキュリティ更新プログラム)プログラムの加入者に対してのみ提供されています。
しかし、ESU期間に入って最初に配信されたセキュリティ更新プログラム(KB5068781など)について、ESUに登録済みの環境から「更新プログラムがインストールできない」「0x800f0922エラーで失敗する」という深刻な不具合報告が相次ぎました。
この重大な問題を解決し、ESUユーザーが引き続きセキュリティ更新プログラムを受け取れるようにするために、Microsoftは通常の月例更新とは別に、緊急の「帯域外(Out-of-Band, OOB)アップデート」としてKB5072653をリリースしました。
本記事では、このESUライセンス準備パッケージであるKB5072653の役割と、スムーズにセキュリティ更新を継続するための必須の対応手順を解説します。
KB5072653の目的:ライセンス適用を可能にする「準備パッケージ」
主な役割
- ライセンス基盤の整備: ESUのライセンス認証をデバイス上で正しく行うための土台(準備パッケージ)となります。
- インストールエラーの修正: 最初のESU更新プログラムの適用時に発生していた、特定の環境におけるエラーを解消します。
修正されたエラーの詳細
特に、Microsoft 365管理センターを通じてWindowsサブスクリプションライセンス認証を利用している企業や組織の環境において、ESU更新プログラムの適用が以下のエラーコードで失敗していました。
エラーコード: 0x800f0922 (CBS_E_INSTALLERS_FAILED)
KB5072653をインストールし、デバイスを再起動した後、Windows Updateを再実行することで、後続のESUセキュリティ更新プログラムが正常にインストールされるようになります。
インストールの前提条件と適用手順
必須の前提条件
| 要件 | 詳細 |
|---|---|
| OSバージョン | Windows 10, version 22H2が動作していること。 |
| 先行アップデート | 2025年10月のセキュリティ更新プログラムである KB5066791、またはそれ以降の更新プログラムがインストール済みであること。 |
インストール手順(適用順序が重要)
- KB5066791の確認: デバイスに先行アップデートがインストールされていることを確認します。
- KB5072653の適用: KB5066791の後に、このKB5072653をインストールします。
- 再起動: インストール後、デバイスの再起動が必須です。
- ESU更新の再実行: 再起動後、再度Windows Updateを実行し、ESUセキュリティ更新プログラムが正常にインストールされることを確認してください。
企業・組織向けの補足情報
- Scan Cabファイルの更新: コンプライアンスチェックにCABファイルを利用している組織向けに、KB5072653のメタデータを含む新しいScan Cabファイルが近日中にリリースされる予定です。
- 重要性: ESUのライセンス認証と更新プログラムの適用状況を正しく把握するためには、この準備パッケージの適用と、新しいScan Cabの情報を注視することが重要です。
まとめ
KB5072653は、Windows 10のサポート終了後もセキュリティ更新を継続したいESUユーザーにとって、セキュリティパッチを適用可能にするために欠かせない、きわめて重要な準備パッケージです。
ESUの更新がエラーで失敗している、またはESUプログラムへの移行を完了させていないユーザーは、速やかにこのアップデートを適用し、Windows 10環境のセキュリティ維持を確実なものにしてください。

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