2025年10月のセキュリティ更新プログラム「KB5066835」の適用後、システムの復旧に不可欠なWindows 回復環境(WinRE)でUSBキーボード・マウスが使えなくなるという重大な不具合が発生しました。
この危機的状況に対し、Microsoftは通常の月例アップデートとは異なる「アウトオブバンド (OOB) 更新プログラム」である「KB5070773」を異例のスピードで緊急リリースしました。
本記事では、このKB5070773の役割、なぜ緊急リリースが必要だったのか、そしてこのパッチが解決する具体的な問題について、詳細に解説します。
1. KB5070773とは? なぜ緊急リリースが必要だったか
KB5070773は、WinREの不具合に対応するために、通常の月例アップデートサイクル(Bパッチ)を待たずに2025年10月21日に急遽配信された修正パッチです。
解決した問題の重大性
KB5066835が引き起こしたWinREのUSB入力不具合は、単なるバグではなく、システムの「復旧機能の無効化」を意味しました。
- ユーザーがOSにアクセスできなくなった場合、キーボードやマウスが使えないため、復元、修復、セーフモードへの切り替えといったすべてのリカバリー操作が不可能になります。
- この機能不全は、企業環境や一般ユーザーにとって大きなデータ損失リスクにつながるため、Microsoftは迅速な対応を決定しました。
アウトオブバンド(OOB)とは?
OOB更新プログラム(Out-of-Band Update)とは、セキュリティやシステムの安定性に関わる重大な問題が発生した際、通常の月一回のスケジュールを待たずに、緊急で配信される修正パッチのことです。
KB5070773は、まさにこの緊急事態に対応するためにリリースされました。
2. KB5070773が修正する具体的なバグ
この緊急パッチの主な目的は、KB5066835が引き起こしたWinRE関連の問題を完全に解消することです。
項目 | 修正前の状態 (KB5066835適用後) | 修正後の状態 (KB5070773適用後) |
---|---|---|
対象のバグ | WinREにおけるUSBキーボード/マウスの機能停止 | 完全に解消され、WinRE内で正常に操作可能に |
影響を受けたOS | Windows 11 (v25H2/v24H2), Windows Server 2025 | 最新パッチ適用によりWinRE機能が完全に復元 |
影響範囲 | OS復旧、スタートアップ修復、OSリセットなどのリカバリー操作 | WinREの全機能が使用可能 |
3. 【最優先】KB5070773の適用手順と注意点
KB5066835を既に適用しているユーザーは、速やかにKB5070773をインストールする必要があります。
適用手順(OSが起動できる場合)
この修正は、通常のWindows Updateを通じて配信されています。
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「Windows Update」設定画面を開きます。
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「更新プログラムのチェック」をクリックします。
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「KB5070773」(またはそれ以降の最新の更新プログラム)が表示されたら、インストールを実行します。
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インストール完了後、デバイスを再起動します。
OSが起動できない場合の緊急対処法
KB5070773を適用する前にOSが起動しなくなった場合、WinREで入力ができない状態のため、以下の回避策を利用する必要があります。
- タッチスクリーン機能があるPCは、タッチ操作でWinRE内を操作します。
- PS/2ポートがあるPCは、PS/2接続のキーボードやマウスを使用します。
- 事前に作成したUSB回復ドライブから起動し、USB機能が有効な状態でWinREにアクセスします。
結論:システムの「命綱」を取り戻すための必須パッチ
KB5070773は、セキュリティパッチ(KB5066835)によって失われたシステムの自己復旧能力を回復させるための、必須のパッチです。
対象OSをご利用のすべてのユーザーおよびシステム管理者は、最優先でこのアウトオブバンド更新プログラムを適用し、万が一のシステム障害に備えてください。
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