Microsoftは、Windows 10 バージョン21H2、21H1、20H2を実行しているPC向けに、追加のオプションパッチ(通称“C”パッチ)「KB5016688」の配信を開始しました。
今回のオプションパッチ「KB5016688」では、ライセンスの問題によって一部のゲームのインストールに失敗する可能性がある問題、デバイスのシャットダウンまたは再起動時にエラー0x1Eが発生する可能性がある問題、IEモードを使用しているときにMicrosoft Edgeが応答しなくなる既知の問題、特定の条件下でサブスクリプションのアクティベーションに失敗する問題などが修正されています。
また、Microsoft Defender for Endpointのランサムウェアや高度な攻撃を特定し、阻止する機能が強化されるなどの新機能も追加されています。
あくまでも「KB5016688」はセキュリティ修正を含まない定例外のオプションパッチであり、特に問題が発生していない場合は無理にインストールする必要はありません。必要に応じてインストール作業を行ってください。
「KB5016688」のアップデート内容
「KB5016688」の更新には、セキュリティ以外の各種品質改善が含まれています。主な変更点は次のとおりです。
Windows 10 バージョン 20H2
- New! IT管理者は、言語および言語関連の機能をリモートで追加できます。さらに、複数のエンドポイント マネージャーにわたって言語シナリオを管理できるようになりました。
- New! Microsoft Defender for Endpointのランサムウェアや高度な攻撃を特定し、阻止する機能が強化されました。
- いくつかの完全な構成シナリオでServerAssignedConfigurationsがnullになる問題に対処しました。
- IEモードを使用しているときにMicrosoft Edgeが応答しなくなる既知の問題に対処しています。この問題は、ダイアログとの対話も妨げます。
- High Definition remote applications integrated locally (RAIL) モードを使用しているときに、レイヤーウィンドウの透過性に影響を与える問題に対処しています。
- デバイスをシャットダウンまたは再起動したときにエラー0x1Eが発生する可能性がある問題に対処しています。
- 特定の条件下でサブスクリプションのアクティベーションに失敗する問題に対処しています。
- ライセンスの問題で一部のゲームのインストールに失敗する可能性がある問題に対処しています。
- 仮想化された App-V Microsoft Office アプリケーションを開くことができない、または動作しなくなる問題に対処しています。
- デバイスをリセットした後、特定の状況で Windows Hello for Business 証明書の展開が失敗する可能性がある問題に対処します。
- BitLocker のパフォーマンスを低下させる問題に対処しています。
- 1,000以上のファイルシステムのセキュリティ設定を処理するときに、ポリシーの結果セットツール(Rsop.msc)が動作しなくなる問題に対処しています。
- 取り消されたAttestation Identity Key(AIK)証明書を信頼し続け、新しい証明書を生成できない問題に対処します。
- 「Take a Test」アプリを閉じたときに、ロックダウンの実施に関連するすべてのポリシーが削除される問題に対処しています。
- 検索アプリのジャンプリストアイコンの色に影響する問題に対処しました。
- フルスクリーンで実行されるアプリケーションのフォーカスアシスト機能に影響を与える問題に対処します。
- ベース ドライバーなしで拡張ドライバーが既にインストールされている場合、デバイスが同じ拡張ドライバーのオファーを Windows Update から受信できない問題に対処します。
- Active Directoryドメインコントローラー上でLSASS(Local Security Authority Subsystem Service)が動作しなくなるレースコンディションに対応しました。この問題は、LSASSがLDAP over Transport Layer Security(TLS)要求を同時に処理し、復号化に失敗した場合に発生します。例外コードは0xc0000409(STATUS_STACK_BUFFER_OVERRUN)です。
- 読み取り専用ドメインコントローラー(RODC)を使用してローカルドメインから存在しないセキュリティID(SID)を検索する際に発生する問題に対処しました。この検索は、STATUS_NONE_MAPPEDまたはSTATUS_SOME_MAPPEDではなく、予期せずSTATUS_TRUSTED_DOMAIN_FAILUREエラーを返します。
- 競合状態で cldflt.sys が無効なメモリを参照する可能性がある問題に対処しました。
- Storport ドライバの入出力に影響し、システムが応答しなくなる可能性がある問題に対処しています。
以前のアップデートをインストールした場合、このパッケージに含まれる新しいアップデートのみがデバイスにダウンロードされ、インストールされます。
Windows 10 バージョン21H1
このセキュリティ以外の更新プログラムには、品質の改善が含まれています。主な変更点は次のとおりです。
- このビルドには、Windows Server, バージョン 20H2 からのすべての改善が含まれています。
- このリリースについて追加の問題は記録されていません。
Windows 10 バージョン21H2
このセキュリティ以外の更新プログラムには、品質の改善が含まれています。主な変更点は次のとおりです。
- このビルドには、Windows Server, バージョン 20H2 からのすべての改善が含まれています。
- このリリースについて追加の問題は記録されていません。
「KB5016688」の既知の不具合
「KB5016688」には以下の既知の不具合があります。
カスタムオフラインメディア等でインストールされたデバイスでは新しいMicrosoft Edgeに自動的に置き換えられない場合がある
■不具合の概要:
カスタムオフラインメディアまたはカスタムISOイメージから作成されたWindowsデバイスでは、このアップデートによってMicrosoft Edge Legacyが削除されても、新しいMicrosoft Edgeに自動的に置き換えられない場合があります。この問題は、カスタムオフラインメディアまたはISOイメージが、2021年3月29日以降にリリースされたスタンドアロンのサービススタック更新プログラム(SSU)を最初にインストールせずに、この更新プログラムをイメージにスリップストリームして作成された場合にのみ発生します。
※注意:Windows Updateに直接接続して更新プログラムを受信するデバイスは影響を受けません。これには、Windows Update for Businessを使用しているデバイスも含まれます。Windows Updateに接続しているデバイスは、追加の手順を踏まなくても常に最新版のSSUおよび最新の累積的な更新プログラム(LCU)を受け取ることができます。
■回避策:
この問題を回避するには、まず2021年3月29日以降にリリースされたSSUをカスタムオフラインメディアまたはISOイメージにスリップストリームしてから、LCUをスリップストリームするようにしてください。現在、Windows 10, version 20H2およびWindows 10, version 2004で使用されているSSUとLCUの統合パッケージでこれを行うには、統合パッケージからSSUを抽出する必要があります。以下の手順でSSUを抽出してください。
- Windows10.0-KB5000842-x64.msu /f:Windows10.0-KB5000842-x64.cab <保存先パス>を展開します。
- 次のコマンドラインを使用して、先に抽出したcabからSSUを抽出します:expand Windows10.0-KB5000842-x64.cab /f:* <destination path>
- この例では、SSU-19041.903-x64.cabという名前のSSU cabが作成されます。このファイルを最初にオフラインイメージに入れ、次にLCUに入れてください。
影響を受けたカスタムメディアを使用してOSをインストールした際に既にこの問題が発生している場合は、新しいMicrosoft Edgeを直接インストールすることで、この問題を軽減することができます。新しいMicrosoft Edge for businessを広範囲に展開する必要がある場合は、「Microsoft Edge for businessのダウンロードと展開」を参照してください。
XPS ViewerでXPS/OXPSドキュメントを開くことができなくなる場合がある
■不具合の概要:
このアップデートをインストールすると、XPS ViewerでXML Paper Specification (XPS) ドキュメントを開くことができなくなる場合があります。この問題は、XML Paper Specification (XPS) とOpen XML Paper Specification (OXPS)の両方のファイルに影響します。
この問題が発生すると、XPS Viewerで「このページは表示できません」というエラーが表示されたり、応答しなくなったり、CPU使用率が高くなったり、メモリ使用量が増加し続けることがあります。このエラーが発生した場合、XPS Viewerを閉じないと、メモリ使用量が最大2.5GBに達した後、予期せず終了することがあります。
■対処状況:
マイクロソフトは解決に向けて取り組んでおり、今後のリリースでアップデートを提供する予定です。
オーディオが機能しなくなる可能性がある
■不具合の概要:
このアップデートをインストールした後、一部のWindowsデバイスでオーディオが機能しない問題が発生する可能性があります。影響を受けるWindowsデバイスの中には、オーディオが動作しないものもありますが、その他の影響を受けるWindowsデバイスでは、特定のポート、特定のオーディオデバイス、または特定のアプリケーション内でのみ問題が発生する可能性があります。
影響を受けるオーディオデバイスのドライバーのほとんどは、この更新プログラムをインストールする前に「オーディオ拡張」設定が無効になっているか、サウンドデバイスのドライバーに「オーディオ拡張」機能に関する問題があります。
■回避策/軽減方法:
この問題は、症状やすでに更新プログラムをインストールしているかどうかによって、軽減方法が異なります。この問題を防止および軽減するための手順については、Windows リリースヘルスの既知の問題を参照してください。
また、当サイトでも対処方法を以下の記事にてまとめています。不具合に遭遇した場合は参考にどうぞ。
■対処状況:
この問題は、KIR (Known Issue Rollback) を使用して対処されます。この KIR は、KB5015878 がインストールされていない Windows デバイスでの問題を防止しますが、この既知の問題の影響をすでに受けているデバイスには影響しません。(不具合を自動で直すわけではない)
この問題がコンシューマー向けデバイスおよび非管理下のビジネス向けデバイスに自動的に伝搬されるまで、最大で24時間かかる場合がありますのでご注意ください。Windowsデバイスを再起動すると、解決策がより早くデバイスに適用される場合があります。
企業で管理されたデバイスで、影響を受ける更新プログラムをインストールしてこの問題が発生した場合は、特別なグループ ポリシーをインストールして設定することで解決できます。特別なグループポリシーは、「コンピュータの構成 > 管理テンプレート > <グループポリシー名>」で見つけることができます。この特別なグループポリシーの配布と設定については、「グループポリシーを使用して既知の問題のロールバックを配布する方法」を参照してください。
グループポリシーのダウンロードは、グループポリシー名で行います。
- Download for Windows 10, version 21H2, Windows 10, version 21H2, Windows 10, version 20H2 – KB5015878 220706_045043 Known Issue Rollback
重要:この問題を解決するには、お使いのWindowsのバージョンにグループ ポリシーをインストールし、設定する必要があります。
Windows 10 21H1 / 21H2:「KB5016688」のインストール方法
Windows 10 21H1 / 21H2向けのオプションパッチ「KB5016688」のインストール方法は以下の通りです。
※あくまでも“オプションパッチ”のため、必要に応じてインストール作業を行ってください。
- Windows Updateの「更新プログラムのチェック」から入手
- Microsoft Update Catalogから更新プログラムをダウンロード
Windows Updateの「更新プログラムのチェック」から入手する場合は、以下の通り作業してください。
まずは「設定」アプリを開き「更新とセキュリティ」を開きます。
その後「Windows Update」を開き、【オプションの品質更新プログラムがあります】の項目にある「2022-08×64 ベース システム用 Windows 10 Version 21H2(※バージョンにより異なる) の累積更新プログラム (KB5016688)」の下部にある【ダウンロードしてインストール】をクリックします。表示されない場合は【更新プログラムのチェック】をクリックしてください。
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