ついに、Windows 11の年次大型アップデート「Windows 11 バージョン 25H2」(通称:2025 Update)の一般提供が開始されました!
Windows 11を搭載したPC向けに順次配信が始まっていますが、「いつ適用すべき?」「どんな手順でアップデートするの?」「注意点はないの?」といった疑問を抱えている方も多いでしょう。
この記事では、Windows 11を最新かつ安全な状態に保つために、この25H2 Updateの適用手順や注意点を徹底解説します。
この記事を読めばわかること:
- Windows Updateを使った最も簡単な適用方法。
- クリーンインストールや手動アップデートに必要なISOファイルのダウンロード手順。
- アップデート前に必ず確認すべき注意点とバックアップの重要性。
- 25H2で追加・強化された主要な新機能と変更点。
アップデート前の最重要事項:注意点と準備
大型アップデートをスムーズに、そして安全に完了させるためには、事前の準備が欠かせません。このセクションで解説する3つの最重要事項を必ず実行してから、適用作業に進んでください。
アップデート前に必ず確認すべきこと
Windows 11 バージョン25H2を適用する前に、お使いのPCが問題なく動作するかどうか、以下の項目を確認しましょう。
1.PCの動作環境(システム要件)の再確認:
- Windows 11は、TPM 2.0、セキュアブートなどの特定のハードウェア要件を満たしている必要があります。既にWindows 11を利用している場合は基本的には問題ありませんが、念のためMicrosoftの公式要件を再確認しましょう。
2.周辺機器・アプリの互換性チェック:
- 古いプリンターや特殊なソフトウェア(特にセキュリティソフトやビジネス用ソフト)は、最新バージョンに対応していない場合があります。アップデート後に不具合が出ないよう、各種メーカーの公式サイトで25H2への対応状況を確認しておきましょう。
- 特にセキュリティソフトは、アップデート前に一度アンインストールしてから、更新後に最新版を入れ直すのが最も安全です。
3.ノートPCは充電しながら作業する:
- アップデート作業中に電源が切れると、システムファイルが破損し、PCが起動しなくなる(文鎮化)危険性があります。ノートPCの場合は、必ずACアダプターを接続した状態で作業を開始してください。
データ消失を防ぐためのバックアップ方法
大型アップデートはシステムファイルを大幅に入れ替えるため、ごく稀にトラブルが発生し、データが失われるリスクがあります。万が一に備え、重要なデータのバックアップは必須です。
- 最優先のデータ: ドキュメント、写真、動画などの「ユーザーデータ」を外付けHDDやスティック型SSD、クラウドサービス(OneDrive、Google Driveなど)へコピーしましょう。
- システム全体のバックアップ: OS や設定全体を元の状態に戻せるよう、システムイメージを専用ソフト(Windows標準の機能も含む)で取得しておくとさらに安全です。
必要な空き容量の確保
Windows 11 25H2 のインストールには、一時ファイルや復元ポイント用ファイルを含めると、数十GBのディスク空き容量が必要になります。
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特に SSD の容量が小さい PC をお使いの場合は、アップデートが途中で止まらないよう、事前に不要なファイルを削除したり、ディスククリーンアップを実行したりして、最低でも 25GB 以上の空き容量を確保しておくことを強く推奨します。
適用方法:3つの主要な手順
Windows 11 バージョン25H2を適用する方法は主に3つあります。
基本的には「Windows Update」経由でのアップデートがおすすめですが、すぐに適用したい方やクリーンインストールしたい方のために、Windows 11 インストールアシスタントを使ったアップデート方法や、ISOファイルを使った上級者向けの手順も解説します。
Windows Updateからの適用手順(最も簡単で推奨)
最も安全で簡単な方法は、OSの標準機能である「Windows Update」を経由して適用することです。
- 「設定」を開く:キーボードの Win+I キーを押すか、スタートメニューから「設定」を開きます。
- 「Windows Update」へ移動:設定メニューの左側にある「Windows Update」をクリックします。
- 更新をチェック:「更新プログラムのチェック」ボタンをクリックします。
- ダウンロードとインストール:25H2 の更新プログラムが表示されたら、「ダウンロードしてインストール」をクリックします。
注: 配信は段階的に行われるため、すぐに表示されない場合があります。焦らず数日待ってから再度チェックしてください。 - 再起動:ダウンロードと準備が完了したら、PCの再起動を促されます。作業中のファイルを保存し、再起動を実行すればアップデートは完了です。
【中級者向け】Windows 11 インストールアシスタントで25H2にアップデートする手順と注意点
「Windows Update を確認しても 25H2 がまだ表示されない」「すぐにでも最新版にしたい」という方におすすめなのが、Microsoft が提供する「Windows 11 インストールアシスタント」を使ったアップデート方法です。
このツールを使えば、Windows Update の配信を待たずに、手動でデータを保持したまま Windows 11 バージョン 25H2 へ安全にアップグレードできます。
ステップ1:インストールアシスタントのダウンロード
-
- Microsoft の公式「Windows 11 ダウンロード」ページへアクセスします。
- 「Windows 11 インストールアシスタント」の項目にある「今すぐダウンロード」ボタンをクリックし、ツール(
Windows11InstallationAssistant.exe
)を PC に保存します。
ステップ2:アップグレードの開始
- ダウンロードしたファイル(
Windows11InstallationAssistant.exe
)をダブルクリックして起動します。 - ライセンス条項が表示されたら内容を確認し、「同意してインストール」をクリックします。
ステップ3:ダウンロードとインストールの待機
- アシスタントが自動で Windows 11 25H2 のファイルをダウンロードし始めます。(環境によりますが、数分~数十分かかります。)
- ダウンロード完了後、インストールプロセスが自動で開始されます。この間も PC は使用できますが、負荷が高くなるため作業は控えることをおすすめします。
- インストール準備が 100% に到達すると、「PC を再起動する必要があります」というメッセージが表示されます。
ステップ4:再起動と最終設定
- 作業中のファイルをすべて保存し、「今すぐ再起動」をクリックします。
- 再起動後、画面に「Windows を更新しています」といったメッセージが表示され、更新作業が続行されます。(この作業は PC の性能にもよりますが、30 分〜1 時間程度かかる場合があります。)
- 何度かの再起動を経て、Windows 11 のロック画面が表示されたらアップグレード完了です。
【上級者向け】ISOファイルをダウンロードして適用する手順
Windows Updateの配信を待てない場合や、OSを完全に初期化するクリーンインストールを行いたい場合は、Microsoftから提供されているISOファイルを利用します。
この方法では、Microsoftの「メディア作成ツール」を使用するのが最も簡単です。
1. メディア作成ツールを入手する
- Microsoftの公式ダウンロードページへアクセスし、「Windows 11 ディスク イメージ (ISO) をダウンロードする」の項目、または「Windows 11 インストールメディアを作成する」の項目からメディア作成ツールをダウンロードします。
- ツールを起動し、ライセンス条項に同意します。
- 言語とエディションを確認し、「次へ」をクリックします。
2. ISOファイルを保存またはインストールメディアを作成する
- 「使用するメディアを選んでください」の画面で、以下のどちらかを選択します。
■ISOファイル:PC内の任意の場所にISOファイルを保存し、後で仮想ドライブとしてマウントしたり、別のツールで USB に書き込んだりする場合に選択します。
■USBフラッシュドライブ:直接、8GB 以上の USB メモリをインストールメディアとして作成する場合に選択します。 - 選択した手順に従って、ダウンロードとファイルの作成が完了するのを待ちます。
3. アップデートまたはクリーンインストールを実行する
- インプレースアップグレード(上書き更新):保存した ISO ファイルをダブルクリックして開き、中の setup.exe を実行すると、現在のデータを保持したまま 25H2 へ上書き更新できます。
- クリーンインストール:作成した USB メディアを PC に接続し、PC を再起動して BIOS 設定画面から USB を起動順位の先頭に設定します。画面の指示に従いインストールを進め、ドライブの初期化(フォーマット)を行えば、完全に新しい状態で 25H2 を適用できます。
4. Windows 11 バージョン25H2 の新機能・変更点
このアップデートは、大規模な基盤変更よりも、Copilot+ PC 向けの AI 機能と、日常的な操作性・管理機能の洗練に重点が置かれた「完成形」に近いアップデートと位置づけられています。
1. AI 機能と Copilot+ PC 固有の強化
このアップデートの最大の焦点は、NPU(ニューラルプロセッシングユニット)を搭載した「Copilot+ PC」と連携する AI 機能の基盤強化です。
機能カテゴリ | 新機能・変更点 | 概要 |
---|---|---|
Recall (プレビュー) | 過去の作業履歴を AI が記憶し、自然言語で検索できる機能。 | 画面のスナップショットをローカルで分析し、時系列で振り返りを可能にします。(管理対象デバイスでは無効化されます) |
AI Actions | エクスプローラーや画面上での AI 連携。 | 画像の AI 編集(背景ぼかし、オブジェクト消去)や、Microsoft 365 ドキュメントの要約を右クリックメニューから直接呼び出せます。 |
Click to Do | 文脈に応じたアクション提案。 | 画面上の文脈に基づいて、Copilot が次に実行すべきアクションを提案し、ワンクリックで実行できます。 |
Agent in Settings | 設定アプリにおける AI アシスタント。 | 設定アプリ内で自然言語による質問をすると、関連する設定項目やトラブルシューティングのヒントが AI によって提案されます。 |
2. エクスプローラーとタスクマネージャーの改善
日常の操作に直結するエクスプローラーとタスクマネージャーの使い勝手とパフォーマンスが向上しています。
- コンテキストメニューの刷新: 右クリックメニューの上部に、「切り取り」「コピー」「削除」などよく使う機能のアイコンが区切り線で独立して表示されるようになり、操作性が向上しました。
- アーカイブ展開の高速化: 7z や .rar などのアーカイブファイルから大量のファイルをコピー・ペーストする際のパフォーマンスが強化されました。
- ナビゲーションペインの操作性: 左ペインを右クリックした際のコンテキストメニューに「新しいフォルダー」作成オプションが追加されました。
- タスクマネージャーの単位変更: メモリ DDR 速度の単位が MHz から業界標準の MT/s に変更され、CPU ワークロード表示のメトリックが統一されました。
3. IT 管理とエンタープライズ機能の強化
企業や教育機関での管理負担軽減と、最新のネットワーク規格への対応が進みました。
- プリインストールアプリの削除(IT Pro 向け): Enterprise および Education エディションにおいて、管理ポリシーにより Microsoft Store アプリを永続的に削除できるようになりました。
- Wi-Fi 7 サポート: 高速・高信頼な Wi-Fi 7 エンタープライズアクセスポイントのサポートが追加されました。
- Windows Backup for Organizations: ユーザー設定とアプリのシームレスなバックアップ・復元を提供し、デバイスの更新や移行をスムーズにします。
- Quick machine recovery: 起動時の重大なエラー発生時、クラウドから自動で修復方法を検索し、デバイスを復旧させることができます。
4. UI/UX およびセキュリティの改善
- 設定ホーム画面の刷新: 「設定」アプリにホーム画面が追加され、システム情報や FAQ がカード形式で表示されるなど、視認性が向上しました。
- プライバシーダイアログの強調: アプリが位置情報やカメラなどへアクセスを要求する際のダイアログが、画面中央に表示されるよう再設計され、プライバシー通知がより目立つようになりました。
- Windows Hello の UI 刷新: パスキー認証をサポートするためのインターフェースが一新され、認証オプションの切り替えが簡単になりました。
5. 廃止された機能
以下の機能は、このバージョンで Windows 11 から削除されました。
- PowerShell 2.0
- WMIC(Windows Management Instrumentation command-line)ユーティリティ
詳細は以下のページでご確認ください。
トラブルシューティング(困ったときは)
大型アップデートの適用は通常スムーズに進みますが、まれにエラーや不具合が発生することがあります。ここでは、Windows 11 25H2 の更新中に発生しやすい問題と、その対処法を解説します。
アップデートが始まらない・失敗する場合の対処法
「更新プログラムのチェックをしても 25H2 が表示されない」「ダウンロードやインストールが途中で止まってしまう」といった問題が発生した場合、以下の手順を試してください。
1.時間をおいて再チェックする:
- Microsoft はアップデートを段階的に配信しています。PCの互換性が確認されるまで、数日から数週間表示されないことがあります。焦らず、翌日以降に再度 Windows Update 画面でチェックしましょう。
2.Windows Update トラブルシューティングツールを使う:
- Windows の設定から「システム」→「トラブルシューティング」→「その他のトラブルシューティング ツール」を選択し、「Windows Update」を実行します。これにより、更新プログラムのダウンロードやインストールを妨げている要因を自動で修復できます。
3.手動でのアップデート(ISO利用)を試す:
- Windows Update が機能しない場合は、「2. 適用方法」で解説したISOファイルまたはメディア作成ツールを使って、半強制的にアップデートを適用する方法が最も確実です。
更新後の不具合(動作が重いなど)への対応
25H2 への更新後、以前よりPCの動作が重くなった、特定のアプリがクラッシュするなどの不具合が見られた場合の対処法です。
1.ドライバーを最新にする:
- OS が新しくなったことで、古いバージョンのグラフィックドライバーやチップセットドライバーが原因で不具合を起こすことがあります。PCメーカーの公式サイトやデバイスマネージャーから、すべてのドライバーが最新版になっているかを確認し、更新してください。
2.スタートアップアプリを減らす:
- OS の起動時に自動で立ち上がるアプリが多すぎると、動作が重くなる原因になります。タスクマネージャー(Ctrl+Shift+Esc)の「スタートアップアプリ」タブから、不要なものを無効にしましょう。
どうしても解決しない場合は「ロールバック」
上記の方法で不具合が解決しない場合、アップデートから 10 日以内であれば、元の OS バージョンに戻す「ロールバック(回復)」が可能です。
- 手順: 「設定」→「システム」→「回復」へ進み、「復元」セクションの「戻す」ボタンをクリックします。画面の指示に従うことで、25H2 適用前の安定した環境に戻すことができます。
- 注: 10日を過ぎるとこのオプションは利用できなくなるため、不具合が続く場合は早めの判断が必要です。
まとめ
本記事では、「Windows 11 バージョン25H2」(2025 Update)の配信開始をお伝えし、その適用方法から注意点、そしてトラブル時の対処法までを解説しました。
今回の 25H2 アップデートは、見た目の派手さよりも、日々の PC 利用における安定性とセキュリティを向上させる、非常に重要な更新です。特に、最新の AI 機能である Copilot との連携強化は、今後の Windows の使い勝手を大きく変えていく可能性があります。
アップデート成功のための最終チェックリスト
アップデートを成功させるために、以下の 3 点を再確認してください。
- バックアップの実行: 大切なデータは必ず外付け HDD やクラウドサービスへ保存しましたか?
- 空き容量の確保: ディスクの空き容量は 25GB 以上確保しましたか?
- 適用方法の選択: 簡単な Windows Update で行うか、またはインストールアシスタントを利用するか、 ISO ファイルを使ってクリーンインストールを行うか、手順を再確認しましたか?
Windows 11 を最新の状態に保つことは、快適な操作環境だけでなく、最新のセキュリティ脅威から PC を守るための最も重要な対策です。
この記事が、あなたの 25H2 への移行を安全かつスムーズに進めるための一助となれば幸いです。最新の Windows 11 環境をぜひお楽しみください。
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